市従の紹介

市従の歴史

大阪市従業員労働組合(大阪市従)は1929年に清掃・土木・港湾の各局で働く現業労働者によって結成し、非合法時代の権力からの弾圧にもかかわらず、高い組織率を誇りねばり強い活動を続けていましたが、日中戦争の激化などにより1939年組合否定の時流に勝てず、やむなく解散しました。

市従の結成

敗戦と同時に大阪市従結成の準備が進められ1945年12月5日、中央公会堂で結成大会を開き、再結成しました。戦前の天皇制官僚制度の下での現業労働者差別に直面しながら、労働組合法もなく厳しい弾圧の中で育み培った団結と闘いの伝統は、戦後の労働組合運動の中で不死鳥のごとく再びよみがえる事となりました。

現業労働者差別撤廃のたたかい

戦前の公務員は天皇の官吏であり「天皇の意志を伝達し実施するものと位置づけられていました。官吏は高等官(勅任官・奉任官)、判任官の二つの大きな階層に分けられ、この官吏の下に雇員・傭員と呼ばれる現場労働者がおり、食堂や便所まで別々に隔離されていました。賃金は「天皇から給えし与えるもの」として給与と呼ばれ、年俸制、月給制、そして現業は日給制となっており10倍以上の格差がありました。それに加え多くの人々は臨時雇いの身分でした。
このような身分的差異をなくすことが市従の組合結成以来の重要な課題でした。
以来、現業差別賃金の撤廃、臨時職員の本務化闘争に心血を注ぎましたが、現業に対する差別意識は根強く1991年にようやく臨時期間の撤廃をすることができました。
戦前の現業職員に対する身分差別が色濃く残存するなか、また、行政職員とのあらゆる面での大きな較差があるなかで、私たちは現業業務の質の向上を図りながら今日もなお格差是正を掲げて取り組んでいます。

地公労法の適用のたたかい

1948年、公務員労働者から労働基本権(団結権・交渉権・ストライキ権)を奪い、政治活動を大きく制約する国家公務員法、続いて地方公務員法が制定されました。
市従は「地方公務員法適用除外」をするため大阪府従・神戸市従・横浜市従などをはじめ全国の自治体現業労働者に呼びかけ、政府・GHQ(占領軍)、国会への働きかけを強めるなど果敢に取り組みました。
その結果、労働三権のうちストライキ権は剥奪されましたが、地方公務員法の一部適用を除外させ、1952年制定の地方公営企業関係労働法の準用となり、団結権・団体交渉権の二権を獲得し、戦後労働運動を果敢にたたかい、担ってきました。
しかし、その代償は「単純労務職員」という屈辱的な名前を被せられ、それを意味するのは「特別な意識や訓練なしに、かつ自らの判断や意思決定を行うことなしに肉体的負荷によって遂行される各種の作業に従事する職員」とされ、現業職場の質の向上や市民ニーズに対応するための職域の拡大の障壁になってきたことも事実です。

現業管理体制の構築

1985年、現業職員の大幅な人員削減などを掲げた「地方行革大綱」が出され大変厳しい状況に追いやられました。
市従は自らの職場は自らの手で守りぬくという強い意志のもと、現業職場の日常的な職場運営や作業計画、事業のあり方などの質的向上と現業労働者の職域拡大、行政の意思決定への参画を通じて現業職員が地域公共サービスの担い手として、市民サービスの向上に主体的に取り組むとともに、現業職場の活性化をはかり、現業労働者の地位向上をめざすため1986年「現業管理体制」(現業職員リーダー制)を全国に先駆けて確立しました。

21世紀へ「コミュニティ労働」と「コミュニティサービス」

自治体現業労働者の行う公務サービスは、市民のみなさん誰もが基本的な生活を営むうえで必要なもので、市民のみなさんの身近な暮らしを維持し豊かにする役割と機能をもっています。
市従は、私たちの業務が市民のみなさんにどう役に立っているのか、市民のみなさんはどのようなサービスを求められているのか、市民の視点に立った業務のあり方を模索し、日常作業を通した対話のなかで信頼関係を築く「コミュニティ労働」を提起し実践してきました。
また、1998年には大阪市と現業職員の人事・給与制度全般にわたって将来のあるべき姿を示す「現業職員人事給与制度検討委員会・指針」を策定し、具現化に向けて取り組んできました。2000年からは自らの「労働」からさらに市民のみなさんの視点に立って「コミュニティサービス」の推進を図ってきました。
さらに、2002年10月に市民参加のまちづくりをめざして「総合政策シンクタンク」を設立し、公共サービスのあり方、とりわけ自治体現業業務のあるべき姿について広く意見を求め研究を重ね「働き方改革」を取り組んできました。そして、2005年12月には「総合政策シンクタンク」における活動の実績と成果を発展的に継承した「大阪公共サービス政策センター」が設立されました。2007年には、所属間人事交流をスタートし、人材育成と職場の活性化をはかっています。
2008年8月には、区役所支部を新たに設立し、区役所間の相互連携をはかりながら市民サービスの向上に努めています。
2009年8月からは市民生活支部が発足。
私たち市従は、労働組合としてよりよい大阪市をつくるために市に対して様々な政策提言をしてきました。その中で具現化されたものを、「市民のみなさんとのふれあいトピックス」や「安心・安全なまちづくり」に掲載しています。是非ご覧ください。

このページの先頭へ